茨城県農協史編さん委員会 委員長八木岡 努
令和4年度において茨城県農協史編さん委員会を設置し、この一年、編さんにあたってまいりましたところ、ここに発刊の運びとなりました。
本県における農業協同組合史は、15年史より10年ごとに発刊されてまいりました。
今回の75年史は、平成25年から令和4年までの経過についてまとめましたが、最大の特徴は、これまで紙媒体で編さんしていたものをデジタル化した点にあります。
写真や動画を盛り込み、「いつでも、どこでも、見たいところを瞬時に」を実現し、さまざまな面で、気軽に活用いただけるものになりました。
構成は、まずこの10年を「JAグループ茨城 10年の歩み」として動画にまとめ、その後に第1編として65年後に続くこの10年間を通史し、第2編を17JAの歩み、第3編を連合会の歩み、第4編を関係団体の歩みとしました。
この10年を顧みますと、平成から令和へ、と元号が変わった歴史的な期間であります。
社会情勢では、前半は平成23年に起こった東日本大震災の復興の中にあり、後半は新型コロナウイルス感染拡大による生活環境の大きな変化を余儀なくされました。令和4年に入ると、ロシアによるウクライナ侵攻、といった衝撃的なニュースも飛び込み、円安の進行と相まって物価高騰を招く中で、「食料安全保障」の重要性が注目されるようになりました。
一方、経済情勢では、平成24年12月にスタートした安倍内閣による「アベノミクス」経済がすすめられました。「アベノミクス」の本丸は国際化と規制改革でした。
同27年にTPP交渉において大筋合意に至り、翌28年に国会承認、30年にはTPPが発効されるなど、農業界においては、大きな転換期を迎えました。
規制改革においては、規制改革会議農業ワーキング・グループが25年に発足し、翌26年には「農業改革に関する意見」を発表し、農協法改正につながる中央会改革が提言されました。
まさに、農業・農協界においては、「国際化」と「農協改革」の中にあった、激動の10年であったといえます。
この10年をこのように史実として振り返り、そしてこの先の10年、20年を見通す中で、地域農業と地域のくらしを守る基本理念、協同組合の理念に基づく組織運動をしっかりすすめていくことに変わりありません。この年史が、改めてわたしたちJAグループが基本理念に基づき、前進していくための「道しるべ」となれば幸いです。
末尾に、75年史発刊にあたり、県内JA、連合会、関係団体等各方面よりご協力を賜りまして、深く感謝申し上げ、発刊のことばといたします。