茨城県農業協同組合史は、これまでに15年・25年・35年・45年・55年・65年史までの6巻が刊行されています。
これは、昭和52年7月「茨城県農業協同組合史第二巻」(25年史)刊行の際、今後の継続事業として、10年ごとに本県農協史を刊行することとされたことを継承しているものです。
今回の75年史は、「平成25年度から令和4年度まで」のものであり、令和4年3月8日の中央会理事会において、茨城県農業協同組合75年史編さんが決定され、続いて4月20日に八木岡委員長以下9名で構成するJA組合長の代表者と連合会常勤役員等による編さん委員会で、令和5年3月完成までの具体的な作成スケジュール案が承認されました。
令和4年4月に中央会総務企画部に専任担当者が設置され、各JA・連合会には、5月12日の「総務企画担当部課長会議」と6月8日の「75年史編さん責任者・担当者会議」において、初めて編さんスケジュールと役割分担を説明し、ここから編さん業務がスタートしました。
爾来、JA・連合会・関連団体の担当者の方には通常業務の合間に75年史編さん原稿作成と度重なる文書校正等にご協力いただき、誠にありがとうございました。関係する皆様のご協力により何とか完成することができました。
特に、締め切り前の8月に原稿と動画をいち早く完成して頂いた「JA常総ひかり」、春夏秋冬のテーマで独自で動画を作成された「JA北つくば」、20ページ以上のJA10年間の詳細な原稿を作成して頂いた「JA常陸」「JAなめがたしおさい」、さらに動画撮影に快く協力して頂いた「JAほこた」「JAなめがたしおさい」「JAつくば市」「JAやさと」の担当者の方には大変感謝を申し上げます。
さて、この10年間の出来事は、経済分野ではデフレ脱却のためアベノミクス政策と異次元の金融緩和政策が継続され、JAの信用事業にも利ザヤの縮小などの影響が及び、店舗統廃合等が進み90以上の支店・支所が統廃合されました。
貿易面では、日豪EPA・TPP11・日欧EPA・日米貿易協定・RCEPなどの協定が締結され、一段と市場開放が進みました。
制度面では、規制改革会議等の議論を受け官邸主導で農協改革が進められ、農協法改正により全中の一般社団法人化、都道府県中央会の連合会化、公認会計士監査の義務付けが導入されました。さらに、農業所得の増大等を図るための自己改革の進捗状況が引き続き管理されることになりました。
農業面では、令和3年度、全国第3位の農業産出額県と18年連続「東京都中央卸売市場青果物取扱高」全国1位を維持し、農業大県として県内各地で特色ある農業が営まれていました。特に、いくつかの組織で日本農業賞(①JAなめがた甘藷部会連絡会 ②JA北つくば「こだま西瓜部会」 ③下妻市果樹組合連合会 ④農業法人:深作農園有限会社 ⑤JAやさと有機栽培部会)や天皇杯(JAなめがた甘藷部会連絡会)を受賞し、さらにGI登録を受けた農畜産物(①江戸崎かぼちゃ ②飯沼栗 ③水戸の柔甘ねぎ ④奥久慈しゃも)もあり、本県として更なる農業振興の励みとなりました。
水田農業では、主食用米から一段と飼料用米等への転換が進み、現行の制度(行政による生産数慮目標の配分廃止)となった平成30年以降初めて、茨城県として令和4年産作付けで目安(生産数量に相当する数値)を達成することができました。
過去10年間の各JAの地域農業振興面では、光センサー施設(メロン・梨)を始め、最新設備のピーマン選果場のほか、レタス・ねぎ・胡瓜・トマト・人参・大根・梨等の選果場、葉物野菜の予冷保冷庫、ライスセンター、低温倉庫など数多くの共同施設が整備され、JAの生産部会とJAの営農担当者のたゆまぬ連携等により農業生産の維持・発展に大きく貢献していました。
品目別に見ると、特にJA常陸の「切り枝」や「干し芋」、鹿行地区の「甘藷」や「葉物(小松菜・水菜等)」「ピーマン」等が増加していました。また、主に、県南・鹿行地区等の「れんこん」や、鹿行・県西地区のメロン、県西地区の「ねぎ」「レタス」「白菜」「こだまスイカ」、県南・県西地区の「梨」等が安定的に生産されており、日本一の農産物も多数認められました。
さらに、新たな品目として「ニガウリ」「サニーレタス」「香菜(パクチー)」「パプリカ」「だいこん」「切り枝」「ズッキーニ」等が県の銘柄産地又は銘柄推進産地に指定されるなど、需要に的確に応じた農業生産が行われていました。
販売促進面では、市場との定期的な面談のほか、JA岩井のネッキーマンや各JAの応援大使やマスコットキャラクターなどが活躍、また、JAホームページのリニューアル、ネット販売への積極的な取り組み(非対面販売の取り組み)など特色ある進取な活動が行われていました。
地域貢献活動面では、地域に寄って立つ農業協同組合として、すべてのJAが次世代対策、健康活動、環境美化活動や農業を通した積極的な貢献活動に取り組んでいました。
特に、女性部や青年部、生産部会などの献身的で元気な活動が目立ちました。
これからも、各JAが切磋琢磨して発展できるよう、今回の各JAの地域農業振興や地域貢献活動の取り組みを一読され、優良事例として参考になることが得られれば、75年史作成の意義があったと思われます。
最後に、75年史編さんに係る全体の構成および文書編の度重なる校正に対して、全面的にご協力を頂いた茨城弘報株式会社:代表取締役の大平 勝典 様、並びに、多くのJA・連合会の動画編集をお願いしました農政広報部の萩谷 茂 様には厚く御礼を申し上げます。
(寺門 国雄 記)